二位ガン 呟く|ω・*)

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うんめぇねぇ~7

 

 


 

 

 

 

お父さんと一緒

 

 とある日、小学3年生の凛子は母が仕事なので父と過ごすこととなった。

 

「凛子ぉ~、今日はお昼何食べたい?お父さんがんばっちゃうぞ!」

「えぇー、何できるの?」

 

「そうだなぁ、ラーメンとか、焼きそばとか」

「麺類ばっかじゃん!」

 

「ははは、そういやそうだな、じゃあ何がいい?」

(お父さんだから変に面倒なの頼むのもなぁ)

「焼きそばでいいよ!材料あるの?」

 

 父は冷蔵庫を開けてみる。

「見事に何にもないな、、、」

「買い物いこっ!私買い物一緒に見てあげる」

凛子は母と共に買い物に行くことが多く、お買い得の物を探しては母の手間を減らしていた。

 

「凛子と買い物なんて久しぶりだなぁ、前に行ったの何時だったっけ?」

「いつかなぁ?お父さんなまけすぎだよ!」

 

 最近凛子の母は転職した事で日曜も仕事で出る事が多くなった。

だから今まで日曜にゴロゴロしていた父は慣れない家事に追われるようになっていた。

でも何故か凛子は嬉しそうだ。

 

 父は思う【凛子が喜ぶとなんでこんなに嬉しいんだろう】

妻に甘えきっていた夫が今では娘に引っ張られて家事を楽しんでいる。今まで自分がいると邪魔になっていたと思っていたので妻にキッチンは任せていた。

 

 

 そうこうしているうちにスーパーへ着いた、そこはいつも母と娘が行く、『スーパーあおい』、野菜や魚が安く昔から住民に親しまれ、毎日大勢のお客が押し寄せる。

親しまれる理由はもう一つある。

 

「おや、凛子ちゃんよく来たね!今日はお父さんと一緒かい?」

 

 お店のお婆ちゃんだ。もう80歳になるが未だに現役で凛子や子供が来ると面倒を見てあげたり、お菓子をくれる、小さい子を見ていてくれるので母親たちは買い物に集中できる。凛子も小学一年生までは良くお婆ちゃんに面倒を見てもらっていた。

 

「うん!お婆ちゃんこんにちは、お父さん買い物分からないから凛子教えてあげるの!」

「アッハッハ、お利口さんだね~凛子ちゃんは!今日はキャベツが特売だからね、コロッケもサービスデーだよ」

「ありがとうお婆ちゃん!お父さん早く早く!!」

 

「はいはい、あっ、ありがとうございました」

父はまだ小学三年生の凛子がこんなにコミュニケーションをとれている事に驚いていた。

 

 


 

 

 

 

下手くそな美味しさ

 買い物を済ませ、車へ積むと凛子がニコニコしている。

「おっとうさぁーん、安かったでしょう!?」

「確かに・・・あんなに安くて、あのお店大丈夫なのか??」

 

「大丈夫だよ!だってお客さんいつも凄いもん!」

確かにすごい客の数だった。父はいつも妻任せにしていたのでこんなスーパーがあること自体知らなかった。

(俺もこれからは勉強しないとなぁ)

 

 家へ帰ると既に11時を回っていた、父は買って来た野菜を取り出し急いで作ろうとする。

「ええ~っと、どうするんだっけ」

困った顔で父はスマホを開きコックパッドを見始めた。

 

「お父さん!何見てるの?早く作ろうよ!」

「えっ!?いや~順番とかあるんだろ。」

 

「何言ってんの!凛子が教えてあげる!お母さんの見て覚えてるから」

「マジで・・・」

 

父は三歳の娘に習うなど思いもしなかった。

凛子は母が料理をする姿を毎回一生懸命見ていた。(わたしもお母さんみたいな大人になりたいな)母を慕う気持ちは何時しか目標になっていたのだろう。

 

「違うよ!キャベツはこう切るんだよ」

凛子は椅子に上がって小さな手で上手に切る。父は照れながら、

 

「凛子は先生だなぁ、お父さん生徒になったみたいだよ」

そういって父はほほ笑む。凛子も父と料理が出来るのが嬉しいようだ。

 

「焼きそばって簡単だけど、ちゃんと準備しないと美味しく出来ないんだよ」

「そうなんだ、お母さんの前に見た時簡単そうだったからてっきり直ぐに出来るんだと思ってたよ」

 

「お母さんはプロだもん!みんなのお母さんは毎日いっぱい頑張ってるの」

「そうだなぁ、ははは、ホント今日は凛子に大事なこと教えてもらったね」

 

 そういいながらもどうにか焼きそばが出来た。

『いただきまーす』

「んん!ちょっと見た目はあれだけど結構美味いな!」

「うん!お父さんちゃんと水分飛ばしたからだよ!」

 

こんな時間が父にはとても大切に思えた。(凛子はあと何回僕とこうして食べてくれるだろう)そんなことを思うと今がとても大事な時間なんだと気づかされた。

 

《カチャカチャ》食器を洗いながら晩御飯の事を考えるが、お腹がいっぱいで思いつかない。

「お父さん夜はどうする?」

「お腹がいっぱいで思いつかないんだよな~、凛子は?」

 

「私も~ちょっとお昼寝したら思いつくかも」

「だな!一緒にお昼寝しようか」

 

そういい、二人は木漏れ日を浴びながら昼寝をすることにした。

 

 

・・・ 気づくと夕方になっていた。

「はっ!凛子!もう5時だ💦」

「うわぁ~寝すぎだよー」

 

「ただいまー!」

 

 母の声だ、流石にマズいと父は焦った。

「おっお帰り!ゴメンまだご飯の支度してなくて!」

 

「いいよぉ~、お昼頑張ってくれたんでしょ!あのさ、駅前に美味しそうなラーメン屋台見つけたから三人で行かない?」

 

「え~また麺ん~!」

 

凛子は笑いながらそういった。

「とっても威勢のいいお兄さんが夫婦でやってたみたいで、猫ちゃんもいたよ!」

「猫ちゃん!?じゃあ行く!」

 

「よし!早速行こう!」

父は作らなくていい事に安心しつつ、レパートリーを増やさなければと思うのであった。

 

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