二位ガン 呟く|ω・*)

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割れた心、切れた思いⅧ

時には思いっ切り叫んでみたい。

 

自由に生きてみたい。

 

自由って自分にとって何なのだろう。

 

私は私に問う、「何が望みなのか?」を

 

自分では気づけない、ううん、気づこうとしていないだけ…

 

 

 


 

 

 

 

Quiet Battle

 三人の生活が始まり、はや2週間が過ぎようとしていた。

カナは三人暮らしをするうえで実家で働く事を許されなかった。

だから近隣のスーパーにパートに出ていた。

 

 あれからカナとシュウは連絡を取り合っていない、シュウは『カナの阻害要因になりたくない』という思いが強く、カナもまた現状に集中するあまり余裕がなくなっていた。

 

「行ってきまーす、成哉お母さんのいう事ちゃんと聞くんだぞ!」

「あっ待って、これ忘れてる」

 

「へっ?なんだい?」

「ゴミだよ、ちゃんと仕事して」

 

カナは成哉の前であまり態度には出したくなかったが、どうしても和明に穏やかな声を出す気にはなれなかった。

 

「お母さん」

「なぁに?」

 

「ぼく、今日コロッケたべたい」

あれから徐々にではあるが、成哉は母に対し気持ちを表してくるようになっていた。

 

「うん!全然いいよ!コロッケ作った事覚えていてくれたんだね、ありがとう成哉」

 

そういうと成哉は照れた表情で母の手を握った。

(成哉… )

 早くから三人で生活が出来れば良かったのだろう、しかし夫との関係はカナの中でもう終わっている。

 

 カナは和明の隙をついて成哉を連れ戻すつもりだった。

しかしそれには成哉の気持ちを正常に戻してあげる必要がある、だから和明の提案にも乗るしかなかった。

 

 保育園に着くと成哉は少しオドオドした様子で

「ぼく、いき…    ううん、いってくる」

「成哉? なにかあったの?成哉が話したいことことあるなら何でも聞くよ?」

 

「 … なんでもない、いってきます」

「いってらっしゃい!何かあったらお母さんに言うのよ」

(後で先生に聞いてみよう)

 

職場へ着き直ぐに電話をかける。

 

プルルルルプルルルル

「はい、おたに保育園です」

「あっ、私、小俣成哉の母ですが今朝成哉の様子がおかしかったので何か知りませんか?」

 

「お婆さんから聞いてませんか?この間お母さんが居ない事で周りから弄られたようで、成哉君が相手を殴ったんです」

「えっ!?成哉が??」

 

「私たちがもっと良く見てあげてればよかったんです、申し訳ありません!今日も出来る限り成哉君に目配せしますので、お仕事に行ってきてください」

「はい、、私の方こそご面倒おかけしました…」

 

驚いた、今まで大人しかった成哉が人に手を上げるなんて。

とにかく相手方に謝らなければとも思ったが、成哉にも話を聞いてあげなければ。

 

胸になにか込み上げてくるものが止まらなかった。

 

 


 

 

 

 

refusal

 いじめの一件を知り、カナは戸惑っていた。

(和明に言っても私が悪いで片付けるだろう、相談のしようがない)

先ずは成哉と話し、彼がどうしたいのか、どんな気持ちなのかを聞いてあげなければと考えた。

「成哉、ちょっといい?お母さんね、成哉が酷いこと言われた事聞いちゃった。ごめんね、お母さんが悪いのに」

「もういい、なんかあいつら嫌いなんだ」

 

「悪口言われたから?」

「うん、、、 あとね、お父さんはにげられたんだって」

 

事実ではあるが、とにかく成哉に対し申し訳なかった。

わが子を抱きしめ思い悩む。これからこの子を連れ夫から離れようとしているのに… もしそうなったら成哉はどう思うだろう。

 

しかし、このままでいられるわけでもなかった。

 

夕飯を終え、カナは成哉が和明にいじめの事を話していないのだろうと察していた。

「ねえ、最近成哉と話してる?ゲームばかりしてるけど」

「してるさ、朝行く時や、帰ってきた時も、ご飯の時も話してるじゃない」

 

「たまにはゲーム止めて、成哉と出来る遊びしたら?」

「俺はこれをしないと一日が終わらないんだよ、出来る限り相手するから邪魔すんなよ」

 

こんな男が果たして父親と言えるだろうか。

言えるわけがない。残業もせずに真っすぐ帰ってきてはゲーム三昧、最近聞いた話では和明の勤め先は今かなり忙しいらしく、同じスーパーで働いている人の旦那さんがぼやいていたそうだ。

 

(そうでなくてもギリギリの生活なのに…)

 

都合のいい男だ、とカナは分かっていたが呆れてしまう。

その夜、成哉を寝かしつけ自分も寝ようとした時だった。

 

小さな声で囁いてくる。

 

「ママ~、 いいだろ、たまに」

 

和明が求めてきたのだ、カナは背筋が凍った。

もう触れたくもない相手に触られ後ろで囁いている。

 

「やめて!私疲れてるんだから」

「そんな事いわないでさぁ~、暫く会ってなかったんだから」

 

(全く理解してないのか)

「ホントにっ、やめて!触られたくないんだよ!あっ、」

 

とうとう言ってしまった。これを言うと逆上するだろうと思い留めていたのに。

 

しかし和明は意外な反応を見せた。

 

「分かった、ごめんなもういいよ」

 

これが何を指すのか。

胸騒ぎが治まらずカナは眠れなかった。

 

翌朝、和明は成哉と何やら話している。昨日いった事が利いたのだろうか?

 

「… なっ、分かったか?」

「う うん、なんで?」

 

「何でもだよ、ほら!お母さん起きてきたぞ!たまには早起きしようと思ってな」

 

成哉のカナを見る目がおかしい。

不安が止まらなかった。

 

続く

 

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