二位ガン 呟く|ω・*)

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割れた心、切れた思いⅥ

彼女の事をもっと知りたい。

 

でも会えない、会ってはいけない。

 

どうして知りたいのだろう?突然我に返る…

 

現実は非情、いや、そうじゃない。

 

自問しながら日々を過ごすことが苦痛に感じる。

合えばその気持ちから解放されるのだろうか。

 

 

Don't meet me.

 

 何かモヤモヤした気分だった。

カナが気になっている事は自分の中で分かっていた、だがそれがどういう感情か理解に苦しんでいた。

 

時折カナとは連絡が取れなくなる。

 

(何かあったんだろうか…)

 

でも知る術はない。

 

この感情だけははっきりしていた。

(もっと彼女の事を知りたい)

 

だが、そんな思いにふける時間もなく、新たなプロジェクトを任せられたシュウは仕事に没頭するしかなかった。

 

「主任?最近元気無くないですか?」

幾多はいつもタイミングよく声を掛けてくる。

 

「あぁ、大丈夫だよ!昨日遅かったんだ」

体力はあるので寝不足くらいで参ることはない、だが、悟られたくはない。

 

「何かあったらいつでも言ってくださいね、主任って溜め込むタイプっぽいですから!」

「あぁ、いつもありがとう。でも自分の事も心配しろよ!まだプレゼンの資料出来てないんだろ?」

 

「あっ、そうでした!… って思うでしょ!実はほぼ出来ているんです。後は確認していただければよいかと思いまーす」

 

幾多といると落ち込んでいるのが馬鹿馬鹿しくなってくる。

でも助かる。

 

「はいはい、確認しますよ」

 

(うっ、毎度の事だが上手く出来ている)

しかし、何故か幾多に対して穴がないか粗探しをする気になれない。

 

幾多の人柄がそうさせるのだろうか。

 

「主任、いつかみたいに今回のプレゼンうまくいったらまたご飯行きませんか!?」

「ええっ!?いいけど、何でだよ」

 

「自分の上司に褒めてもらえればやる気も出るってもんです!」

「分かった、だから落ち着け!いつも褒めてるだろ?」

 

「分かってませんねー!やっぱりご褒美的なことがないとモチベーションって上がらないんですよ!」

「そんなもんか?」

 

(どうもお上手く乗せられているような…)

 

 

翌日

カナからメールが来ていた。

「シュウ君おはよう。実は悩みがあって、出来れば聞いて貰いたいんです。こんな事お願いすることはお門違いなのはわかっているけど話聞いてもらえませんか?」

 

(なんで畏まっているんだろう?)

「良いですよ、いつでもメール位送ってください!今更遠慮はナシですよ!」

 

今日はやけに返事が早い。

「違うの、電話で直接話したいの… ダメかな?」

 

(マジか…!?)

 

 少し動揺した、まさかこんな展開が来るとは思っていなかったからだ。

だがシュウの中で同様の後に高揚感が湧き上がっていた。

 

「良いですけど、カナさんはいつがいいですか?僕は今日の9時以降なら大丈夫だと思います」

送ってしまった。

 

 

 


 

 

Your voice

「主任おはようございます!」

「おう、おはよう!」

 

「なんか今日元気ですね?」

(まずい、悟りだった)

 

「いや、昨日は早く寝て気分いいからだよ」

「じゃあ一つ聞いてもいいですか?」

 

「どうした?」

「今夜ご飯行きましょう!」

 

(こいつは!?何か読めるのか?)

 

「いやー、今夜はダメだ、ちょっと予定が入ってて」

「なぁーんだ、残念、ではまた今度」

 

にっこり笑って幾多はアッサリと戻っていった。

 

(マジで焦った、あいつと付き合うやつはしんどいだろうな)

 

 仕事上がり。

 

シュウはそそくさと会社を後にし、食事も買い込み、家で準備万端にしていた。

 

「飯も済ましたし、シャワーも浴びたし、ゆっくり話せるぞ」

 

デートに行くわけでもないが、後回しにしがちなことをシュウは先にやっておく。

いつも、という訳ではない。

 

危機感、もしくは後々の事を考えた場合にのみしてしまう行為なのだ。

 

(自分からメール入れると催促しているみたいかな?)

 

悩んでいるうちに9時を過ぎていた。

来ないな、と思っていた矢先に携帯が鳴る。

 

「シュウ君お疲れ様!どうでしょうか、電話しても大丈夫?」

 

鼓動が高鳴り、緊張がマックスになる。

「大丈夫です、番号送りますね」

 

約束はしたものの、焦りなのかお互いに番号を教えてなかった。

『prurururu、pururururu』

 

いきなり電話が鳴った。

(いきなり!?)

 

思わず電話に出る。

「もしもし、絢瀬です。あっ!シュウです」

「もしもし?シュウ君?… カナ…です。初めまして」

 

「こちらこそ、初めまして なんか変な感じですね」

「私も、初めてじゃないけど声聞くのって緊張するんだね」

 

カナの声は優しい綺麗な声だった。

(なんか安心するな)

 

「シュウ君って結構渋い感じの声なんだね、大人な感じ」

「カナさんは凄くクリアな感じの声ですね」

 

「シュウ君、その…敬語使わなくていいよ、普通に喋ってみて!」

「えっ、じゃ、あぁカナちゃん?」

 

「ふふふっ、なんか恥ずかしいね、シュウ君んの好きな呼び方でいいけど、何歳なんだっけ?」

「34ですよ、カナさんは聞いても構わない?」

「33だよ、年上だったんだね!敬語使わなくちゃ」

 

「やめて下さい、あっ敬語になっちゃった」

「なんか嬉しい、相談事があったのについ忘れちゃう」

 

(可愛い人だな)

(シュウ君ともっと話したいな、相談なんかじゃなくて)

 

「ところで相談って何だったの?カナさん深刻そうな感じだったからちょっと心配で」

「私ね、前に旦那と別居している事話したっけ?そこに旦那が現れたの」

 

そこからカナは、和明が来た時の一連の騒ぎをシュウに話した。

もちろん和明からの提案の事も。

 

「…難しい、ゴメン、僕からなんと言えばいいのか」

「ごめんね、正直一緒に暮らしたくないのに、子供と暮らしたかったらなんて言われちゃって」

 

カナの声がどことなく泣いているようにも聞こえる。

 

「うまく言えないけど、でもカナさんが後悔の無い様にしてほしい。多分旦那さんは体裁の為なんでは?」

「そうだと思う」

 

「法的にどうなのかとか、先ずは調べてみたらどうかな?諦めないで方法を探せば何か見つかるかもしれないし」

「なんか、シュウ君カッコいいね」

 

「えッ?」

「ううん、何でもないの。お父さんばかりに頼っていられないから自分でも調べてみるね」

 

「うん、僕の方でもいい案思いついたら連絡します。あっ、するね!」

「ふふふ、ありがとう。ちょっと気が楽になったかも」

 

「一人で抱え込まないで、お父さんにもこの件は隠さず話して、みんなで解決した方がいいと思う」

「そうする、ありがとう。シュウ君みたいな人と先に出会えればよかった。おやすみなさい」

 

「おやすみ」

 

切る間際にあんなことを言うのは反則だよ、気持ちが…

 

それが悪気のない言葉だとは分かっていても、シュウの心に十分残る言葉だった。

 

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