二位ガン 呟く|ω・*)

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三番目の男15

 

 


 

 

 

発端

 これを書くにあたり、少し私の生い立ちを書こうと思う。

そうでなければ読み手に伝わらない事が多いと思われたからだ。

決して同情を買いたいなどの理由ではないので、誤解の無い様に読んでいただきたい。

 

 私が6歳位の時分両親は祖父たちと折り合いが付かず、喧嘩が絶えなかった。

というより夫婦喧嘩も絶えなかった。

 

ある日の日曜、普段行かない親戚の家に私だけ連れていかれ、そこのお兄ちゃん・お姉ちゃんと一日遊んでいた。

 夜に迎えが来て、家に帰ると両親と妹・弟はおらず、祖父、祖母、曾祖母以外いなくなっていたのだ。

「なんでみんないないの?」と何度も聞いたが、帰ってくる言葉は「ジャスコに買い物に行ったんだ、時間かかるから帰ってこないんだよ」と未だにあの言葉を覚えている。

ジャスコ-現在のAEON)

 

 祖母は私に毎日「みんないつ帰ってくるの?」と聞かれ、かなり困ったであろう。

しかし3~4日ほどたったある日事実を伝えられた。

「親たちと兄弟は出て言ったんだよ、お前と父親は血が繋がってないから何されるか分からない、だから婆ちゃんたちはお前を引き取ったんだ」

 

 今思えばもう少し言い方もあると思う。

元々デリカシーのない家族なのでそういった事に気が回らなかったのだろう。

 

 そこから様々なことがあった。私に親がいない事を知った心無い大人は、自分の子供に教えてしまい、それが元で「お前親に捨てられたんだろ」といじめられ、小学校一年生になった時点で既に的になっていた。

 

 祖母はそんな私を溺愛した。

私の母もまた婿を取った側だ。母はそんな両親に大層可愛がられたらしく欲しいものは何でも買い与えられ娘という事で注意もろくにしなかったそうだ。

 

 だから祖母は私に「溺愛」する反面、とにかく厳しくあった。

玩具は殆ど買ってもらえず、買ってもらえるのは漫画や、小説、だからか大人になると自分で働いたお金で好きなものを買うようになり、金遣いは荒かった。

いわゆる反動、と私の節制の無さだ。

 

その後

 祖父は放任主義、というより祖母任せだったので授業参観や学校行事はいつも祖母、私は全く恥ずかしくなかった。なぜなら祖母が大好きだったからだ、曾祖母と2人で母の様に可愛がってくれ、愛情を注いでくれた。だからかもしれない、『親が恋しい』と思う期間は短かったように思う。

 

 それでも恋しい時期はあった。

母たちが出て行ったにも関わらず、2・3年も経つと顔を出すようになった。

私は兄弟と合えるのが嬉しかったし、母にも会いたかった。顔を出すからだ。

しかし、何故か私にはあまり接してくれない。

 

 とある日、祖父が母に対し怒鳴っているのを見た。

「人の作った野菜目当てに遊びに来て!タケシの事考えた事あらんだか!!」

あれで分かったのだ。

(あぁ、母ちゃんは欲しいものがあってきたんだ。だから俺と話してくれないんだ)

 

切なくなった。

その後の私は大分おかしくなっていたようで、担任にも「タケシ君最近うつむき加減で元気が全くないんですけど」と祖母に連絡があり、苛めの件もあったが、母の事もあったので素直に話した。

 

 祖母はいつも私に向かい合って接してくれた。

場所は何時もお風呂の後なのだ。小学校5年生くらいまでそんな事がある度に祖母は私の話を聞いてくれた。だから大好きだった、今でも祖母のぬくもりは覚えている。

 

 変な家族ではあったが、私は親に置いていかれた事で幸せになれたというべきだろう。祖父、祖母共に人としてダメなところはあったものの、「子を育てる」事を2度経験し、「2度目も失敗した」などとあの世で思われないように生きていきたいものだ。

それなりにダメな大人ではあるが。

 


 

 

 

一番目の女

 私の婆ちゃんは一風?変わった人であった。

父の性格は知らないが、よく喋るのは祖母譲りであろう。彼女は我が家の長女として産まれ、その後二人の妹が出来、三人娘だったそうだ。

 

 婆ちゃん曰く「美人三姉妹っていわれだんぜ~」と言っていたが、「終い」の間違いではないだろうか。

 

 三人共変わっていたが、結束力は強かった。

特に婿で入ったじいちゃんに対しては以前も書いたが、異常に支配欲が強く「婿の分際で」とよく言っていた。あまり孫や、子供の前で言うものではないと思う。

 

 婆ちゃんは名を【スズ】と言い、今ときめく女優さんのようなものではないが、『鈴のように綺麗な音をたてる女性に』と当時では珍しく考えた名前であった。

しかしババチャ(曾祖母)は「あんだうるっせおなご【ウル】って名前にすればいがったわ!」とよく聞かされたものだ。「うるばあちゃん!」なんて、呼ぶ度に笑ってしまうので付けられなくて良かったと思う。

 

 そんな婆ちゃんは60歳を超え始めた頃奇行に走り始めた。

真夏になるとグラビアアイドルよろしく、上半身裸にタオルをかけ、『セミヌード』状態になり外を歩いているのだ。

 

微妙に胸元が隠れているので余計に恥ずかしい。

 

ある日私が夏休みに遊んでから帰ってくると彼女はいた。

「婆ちゃん!!?何その恰好!??」

「あぁ、タケシおかえり~おら、あっちぇっけ脱いだんさ」

 

「いや、そんな事よりそんな恰好やめでくれー!」

「いいがな、もう女は終わったんだ、どうでもいやんさ」

 

家族はあんたと違い、全くもって良くないのだ。

 

続く。

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