二位ガン 呟く|ω・*)

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三番目の男

  これは私の祖父に纏わるお話です。

 

自分自身忘れたくないので書いてみたい、そんな事を前から考えていました。

読んで頂けたら幸いです。

( 時系列が変わる時がありますがご了承ください)

 

 

 

   私の祖父(以後、じいちゃん)はたまに奇行に走る所があった。

ステージに立つロックミュージシャンさながら、片足を運転席にあげ、トラクターの上から桶にオシッコをしたり…

 

そんなバンドはないだろうが。

 

  そんなじいちゃんが一昨年亡くなった。

94歳、大往生だろうと思う。家族としてもまさかの展開、あんなに丈夫で元気な人だったのに。。。


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(写真はイメージです)

 

  畑仕事が好きな彼は、村で有名な「トラクターじいちゃん」と呼ばれる人だった。

 

人から頼まれると断ることなく引き受け、何でもやろうとする。

そんな彼は実家から少し離れた集落へ婿として迎えられた。


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  私が子供の頃、彼は「俺は船木一郎に似てると言われるんさー」と自慢げに言う時があった。

「誰それ?!」流石に孫の私はピンク・レディー辺りからしか知らなかったが、自己満足してたので放っておいた。

 

 

  彼は妻(祖母)と仲が悪かった。

婿を見下していたからだと思う。よく私に「婿の分際で」と悪口をきかせてきたものだ。

 

  あの二人はお互い様なんだな、と気付いたのは高校生になった辺りだろうか。そりゃ何十年も見下されていれば嫌いにもなるだろう。

 

 

  じいちゃんが70代になった頃、仕事から帰ると家には親戚のおばちゃん方が3人おり、何故か怒り心頭の顔つきだった。

 

 

「○○ちゃん!あんた米泥棒にされてるよ!」

残業で遅くなり、疲れて帰ってきたら泥棒扱いかよ…

 

  原因は家の米が無くなっていると婆ちゃんが騒ぎ始めた事からだった。じいちゃんを問い詰めた所、私が盗んで売ったと言うことになったそうだ。

 

 

  じいちゃんは後で知った事だが、小遣いも貰えず通院とかで預かったお金の残りを持っといて細々使っていたらしい。

 

じいちゃんは丈夫な人だったので、病院に行く事は少なかった。通院の残りと言っても微々たるもの…

それを少しづつ使っていたのだろう。

 

 

 

  人間追い詰められれば泥棒もしてしまうだろう。

あの時私はじいちゃんにかなりキレた、しかし婆ちゃんが弱々しくなり、私が面倒見るようになる頃は少しお小遣いを渡すようにしていた。

 

 

  家の近くには田んぼがあった。

ある日帰ると田んぼが全て土で埋められており、重機が置いてあった。

 

何あれ?!

 

  そう聞くとじいちゃんは「畑作るから全部川の土上げてもらって整地したんだー」と嬉しそうに。

 

幾らかかったのか聞くと「2.3万で済むさ!」と何故かカッコつけて言っていた。

 

2.3万円稼ぐのに人がどれだけ働くかわかる?!

 

 その頃、婆ちゃんは痴呆が酷く施設に入れていたのでとにかくお金がかかっていた。

まだ自分も独身だったが中々融通が効かず余計なお金はかけたくなかった。

 

 

「大丈夫だぁー」

 

志村けんバリに言うので少し殺意が芽生えたが、粘りつ交渉する人なので値切るだろうと踏んだ。

 

  しかし、その後届いた請求書には8万円と記入されていた。

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 こういった「事後報告」はしょっちゅうあり、婆ちゃんがじいちゃんの行く先々に電話するのも分かる気がした。

 

 推測では、「婆ちゃんが色んな所を押さえつける」ので、じいちゃんは「目を盗んではやりたい事をやる」この連鎖がどんどんこの家庭を悪化させて行ったのだろう。

 

2へ続く。

 

 

 

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